アメリカのCBD法規制–最新情報

アメリカのCBD法規制 – 最新情報〈2020/12/25現在〉

FTCもついに着手! CBD製品の違法広告に初の制裁金支払い命令

米国の公正取引委員会にあたる連邦取引委員会(FTC)は12月17日、市場に流通する一部CBD製品の広告が、消費者を誤認させるヘルスクレームを掲載していたとして、製造販売業者計6社に対し制裁金の支払いを命じた。同委員会として違法業者に制裁金を課すのは今回がはじめてのケースとなる。

この消費者保護を主たる目的とする独立行政機関のFTCは、同製販業者らが、がん、高血圧、アルツハイマー症候群の治療や症状の緩和に有効であるかのような広告訴求を行っていたとしている。これについて、FTCの消費者保護局アンドリュー・スミス局長は、「今回の処分はCBD製品自体の効果や有効性を否定するものではないが、ヘルスプロダクトとして全ての製品に適用される基本的なルールであり、科学的な見地から虚偽や誇張は決して許されるべきではない。」とのコメントを発表した。

以下は、今回処分の対象となった業者と処分の一覧。

なお、今回の処分にあたり、FTCはいくつかの具体的な表現事例を公表した。それによると、「CBDが痛みを緩和し、何歳も若々しく感じる」と訴求した例や、ユーザーボイスを使って「処方薬のオキシコンチンをCBD製品に置き換えることで慢性病が治癒した」と訴求した例もあったとしている。

これら処分対象となった業者には、「全購入者へ45日以内に通知を行うこと」と、「実行済みアクションに関するリポートをFTC宛て90日以内に提出すること」を義務づけている。

また、制裁金の支払い命令は、FTCとして今回が最初の発動事例となったが(広告差し止め処分としては、4月に「抗ウイルス」を謳った業者に対して適用した実績あり)、今後同様の「根拠なきヘルスクレーム」が市場に散見される場合には、さらに多くの処分が行われるであろうことを改めて予告している。

FDAはCBD製品の点眼や吸入式用法に警鐘!?

一方、米食品医薬局(FDA)は12月22日、一部のCBD製品が「インヘーラーなどでの吸入」や「目薬式の点眼」を用法としていることに「公衆衛生上の懸念」があるとし、これら製品を製造販売する業者計5社に対し警告状を送付したことを発表した。 

個別の警告内容については以下の通り。

  • Bee Delightful社 [テキサス州]
    →同社製品が、「多発性硬化症および関節リウマチの痛み緩和」や、コロナ禍に乗じて「免疫機能の強化」に効果的であるなどと謳ったことが問題とされた。
  • G&L Wellness社 [ウイスコンシン州]
    →ヒト用およびペット用の点眼薬をそれぞれ発売する同社が、いずれも「ヒトとペットのための多症状向けアイケア・ソリューション」と謳ったことが問題とされた。
  • New Leaf Pharmaceuticals社 [コネティカット州]
    →同社の販売する鼻腔スプレー製品の「血流への急速な吸収特性」に、公衆衛生上の懸念があると見なされた。同社は、2019年にも製品が「動脈閉塞に有効」とのネット投稿を行ったり、FAQ上で「がんや腫瘍と闘う」などの掲載をしていた。
  • NextL3vel Services Group社[ネバダ州]
    →ペット用シャンプーやおやつ、ヒト用オイルや点眼薬などを販売する同社は、「小児の注意欠如(ADD)や多動性障害(ADHD)」のソリューションとして、「子供のイラスト付き広告」を行ったことが特に重大であると問題視された。
  • Wellness Biosciences Rx社[テキサス州]
    →同社の販売するインヘーラー(口腔吸入器)型製品に含まれる成分が、「咽頭けいれんや気管支けいれんを引き起こし、ヒトの上気道および下気道組織に有害となる潜在的可能性がある」と見なされた。また、同社がツイッター上に「吸入されるCBDが禁煙に役立つ」と複数回投稿したことについても大いに問題視された。

今回出された警告に制裁金の処分は含まれないが、対象業者には「FDAに対し15営業日以内に是正措置の報告を行うこと」が義務付けられた。

FDAは現在のところ、まだ「医療向け販売チャネルを介する場合」にのみCBD製品の販売を許可している段階にあるが、新しいCBD法案の策定に向けたタスクフォースを率いるエイミー・アバネシ―博士は、「FDAのポリシーがいずれ変更されるまでは、引き続きCBD製品の『OTC的使用法』に対する警告を発し続けることになる」との基本方針を明らかにした。

なお、これに先立つ今年7月、FDAは米大統領府に対し、「CBD新法案の業界向け施行方針」を提出済みだが、現時点でホワイトハウスからはまだ承認が出ていない状況にある。