【国内】政府検討会および自民党プロジェクトチームの動向

先月の当ニュースレターV0l.3でもご紹介した、政府による「大麻等の薬物対策のあり方検討会」(いわゆる政府検討会)は、去る3月31日に第4回会合を開催し、同検討会としては初めて「大麻由来医薬品の医療への活用」について現状の把握と情報共有を行った。

なお、政府検討会自体は、具体的な政府方針や関連法案を審議するための会議体というよりも、むしろ「結論ありき」のアジェンダを、民間の有識者を含む形で審議・検討したというアリバイ作りの「儀式」と言えなくもないが、少なくとも厚労省サイドの思惑としては、既にアメリカをはじめ海外で承認済みの大麻由来医薬品(英GW Pharmaceuticals社製「Epidiolex」等)の国内規制緩和に的を絞っていることはどうやら間違いなさそうである。

このEpidiolexについては、天然由来のCBDが有効成分とされている。他方、我が国の大麻取締法では、原料となる大麻草の「茎と種子」以外から抽出された成分をすべて違法としているため、その違法部位から抽出された成分を含む同製品も、特別に許可された治験目的以外での輸入や使用が禁じられているのが現状だ。

この医薬品の有効性や公益性を考慮すれば、大麻取締法上の「部位規制」やその適用対象について、一定の法改正に向けた前向きな動きが加速する可能性がある。

当然ながら、この法律の在り様はEpidiolex等の医薬品に限らず、一般向けCBD含有製品の輸入および販売上の規制にも大きく関わる問題でもある。

一方、3月19日には自民党党本部において、「再犯防止推進特別委員会、大麻事犯等撲滅プロジェクトチーム」の勉強会が開催され、再犯性の高い違法薬物事犯防止の観点から、特に未成年者を含む若年層のゲートウェイドラッグとして摘発件数が急増している大麻についても、今後の法規制の在り方について情報共有と議論が始まった。

しかしながら、同PTが目指すものは、現行の大麻取締法では規制の対象とされていない大麻の「使用*」まで新たに刑事罰の対象に加えることであり、今後の動向が注目されている。

*現行法では「大麻の所持、譲り受け又は譲り渡し」を規制するが、「使用」については特に罰則規定がない。