アメリカの法規制 – 最新情報〈2020/11/12現在〉
米ニューヨーク州健康局は10月26日、かねてより市場関係者から期待されていたCBD製品の製造と販売に関する新しい規制方針を公開し、その内容について11月10日から翌2021年1月11日までの間、パブリックコメントを広く募集すると発表した。
その中で、今回注目すべき点は以下の通りである。
◎NY州によるCBD規制方針の概要[一部抜粋]
(昨年発表したNY州の方針とは異なり)食品や飲料へのCBD添加や販売は問題ないとするが、アルコールやタバコ製品にはこれを認めない。また、注射、インヘーラー(吸引器)、スキンパッチなどを使用して摂取する製品も不可。
CBDベープ製品(器具により熱蒸発させたリキッド成分を吸引するもの)は問題ないが、大麻の「花穂部分」をタバコに混ぜて販売するのは不可。
精神作用を及ぼす大麻の規制成分THC 0.3%以上を含有するCBD製品は、消費者向けに一切販売できない。ただし、NY州内における中間製造業者間の取引に関しては、最大3%までのTHC含有量を認める。
食品や飲料にCBDを添加する場合、1食あたりのCBD添加量は25㎎までとし、オイルやチンキ剤などの場合には、1製品あたり3,000㎎までを限度とする。
CBDやその他大麻成分を含有する食品や飲料製品のパッケージングは「製造者」が行うものとし、小売レベルで同様の成分が任意に追加されてはならない。(例、店舗で調理販売するクッキーにCBDを混入するなど)
CBD含有製品が特定の疾病治療に効果があるかのような表示や広告はできない。また、それらが未成年者を勧誘するような見せ方も不可。
CBD製品のパッケージ上、その製品が製造された州名あるいは国名をかならず明記する。
CBD製品を含む大麻製品を販売するすべての小売業者(店販・通販を含む)は年間300ドルのライセンス料を州に収めること。(他方、製造業者は、初回登録から最初の2年間で2,500~5,000ドルの登録料を収めるものとする。)
今回公開された新しい方針で特筆すべき点は、①「昨年夏にNY州が宣言し、先行する業界に一石を投じることとなった『食品・飲料へのCBD添加禁止』の原則が大幅に緩和されたこと」であり、さらに②「連邦麻薬取締局(DEA)が製造業者に一律課すとしていた製品中THC含有量0.3%の縛りが、同州内の中間業者間の取引においては『3%まで緩和』された」と言うことだろう。
これについて、同州で有力な大麻製造業者団体NYCGPAはプレスリリースを発表し、「(新法は)米国内で最も厳格なルールのひとつであることに変わりないが、サプライチェーンの透明化や適正な品質の規格化によりCBD市場の底上げに貢献するものだ」とし、また、「業界の特殊性やその複雑さにも関わらずバランス良く考慮されており、将来的な『GMP(適正製造規範)規格化』への布石ともなる貴重な一歩だ」として前向きに評価している。
いずれにせよ、今後の連邦各法制定にも大きな影響力を持つNY州の法案が、これから始まるパブコメによる「洗礼」の過程を経て、どのように形づくられていくものか、州や連邦の内外から強い関心を寄せられていることは間違いない。